月と太陽の傾き

人生よ。

切ない切ないと声に出したら

本当に切なくなってしまって

泣きそうになる。

 

生きるというのはなんて辛いことなのか。

逝く人を見送ることの辛さ、切なさ、

ぽっかりとあいた穴、大きな不在の存在。

だけど、

生きているあたしはそれらを抱えて、

彼らにありがとうといおう。

前を向いて今を生きよう、

そこにエネルギーを費やそう。

 

拳さんの死がなぜかおかしなくらいにどーんっと重い。

拳さん、

前に帰国した時に放送されていた「瑠璃の島」、

あなたが出ていたから欠かさずに観ていたようなもの。

ブラウン管を通してだけのあなたの存在が、

その不在が、

自分でも改めて驚くほどなぜかとても大きい。

どこか近親者を亡くしたかのように。

だけど、あなたは今、きっと現世よりよい場所にいるだろうから、

あなたのことは心配しない。

だけど、あなたがもうここにいないということが、

わがままなあたしには残念でならない。

子供時分から慣れ親しんだ人が去っていくのは

空しさと、そしてやがて自分にも訪れる人生の秋と冬、

そのあとにやって来る、

避けることの出来ない人生の一大イベントを想像したりしてしまう。

 

3人の夫を現世からあちらへと見送った、80を過ぎたレアが言った。

「but life goes one」

そうなのだ。

どんなことがあっても生きている限り精一杯生きなければ。

死ぬのは死んでからでいい。

今年、ザグレブに来て、

ホロコーストを生きた今は年老いた

そう、80代の人たちと話しをしたり話しを聞いたり、

そんなことが多くなって、

そこには突然の別れもあって、

これまで以上に死というものが、

顔面にバーンッと、だけど、静かに突きつけれた現実となった。

だけど、そこでじっとうずくまってはいられない。

 

さあ、80まで生きるとして、

そこへの折り返し地点は近い。

ここからきっと流れる時間はもっと早くなるだろう。

毎日を大切に、感謝しながら、

時々立ち止まり方向確認しながら、

一歩一歩、歩いていこう。

はあ〜、よいしょ〜、っと。

 

明日の深夜、

HR1(クロアチアのテレビ局)で

拳さんの1979年『復讐するは我にあり』(今村昌平監督)放送。

拳さん、たくさんの愛としあわせと、

いつまでも追いかけていたい大きな背中をありがとう。

「あきらめなさい 思いどおりにゆかないのが人生よ」

 拳さんの言葉。

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人生よ。” への4件のフィードバック

  1. こんにちは。緒方拳の死をちかさんのサイトで知りました。私の中では時代劇を演じる彼のイメージが大きいのですが、彼の持つ人間的な独特な味は、他の人ではまねできないものがあり、そういった俳優の一人であるでしょう。私も、既に人生折り返し地点を過ぎました。「人生は思いどおりにいかない」、確かにこの言葉は、私の人生で身にしみて感じた言葉でもあります。それでも、努力と希望は忘れないということでしょうね。後半の人生、とにかく後悔のないよう生きていくこと、これが今の課題です。

  2. こんにちは。私もです。あの人みたいな俳優はもうとても少ないと感じます。あの人の持つ空気、潔さ、色々言葉を並べても追いつかないけれど、大きな俳優でしたよね。いま、題名が思い出せないのですが(DVを受けている同アパートの女児と逃げる話)その映画は、唯一彼で持っていたようなものでした。ほんとに人生は思い通りに行くことの方がものすごく少なくて、時には諦めも肝心とは思いますが、これからの人生も輝けるように頑張らないとですね。

  3. カナダのKさん。

    こんにちは。そうですね、彼の発声や立ち振る舞いに時代劇が現れてますね。今日もテレビで彼の映画をやってました。あの目といい声といい、優しさがにじみ出ていました。

    人生の折り返し地点、あっという間にそんなところに辿り着く。本当に時間が過ぎるのは早いですね。思いどおりに行かないから人生なんでしょうね、きっと。Kさんも異国の地で大変なこともたくさんおありと思いますが、これからもがんばってください。応援してます。

  4. いとへんさん。

    はい、拳さんの素晴らしさを語ると夜がいくつ明けてもたりないですね。先ほどGonin 2を観ましたが、この映画も彼が出ているからピリリッと締まって、学芸会にならずにすんでました。大変な存在だったですね。

    そうそう、諦めなきゃ行けない時はできればすぱっと諦めて、次にすすむ(笑)。これ、とっても健康です(笑)。まあ、なかなかそうできないこともたくさんありますね。いとへんさんもがんばってくださいね。

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