カテゴリー: 不思議のクロアチア

患者登録。

連休から週末へ。各学校も終業、これにてサマーホリディに突入した感のクロアチア。ってことはもうすぐ毎夏恒例の誰もがこぞって海辺のサマーハウスへと国民的大移動開始。すなわち、がらーんっと砂漠化する夏休みのザグレブ。サマーハウスなんぞ持たぬ3猫持ちには、ああ、今年の夏休みも遠出はかないそうもなく。うーん、きっと今年の夏も暇ぢゃの〜。

連休に海沿いの町ザダールに日帰りでもと家人と話していたが、キャンセル。実は冬の頃から左の太ももの外側にオリーブほどのシコリのようなものが出現し、それが時々ズキズキと熱をもって赤く腫れたように痛む。外科医の知人に診てもらうも「なんぢゃろ、コレ、痛みが治まったら切ってみようか」ってことで、それからかれこれ一週間以上いまだ痛みは続き、ネットで調べてみたらどうもアテローマとかいうものっぽい。一度きちんと検査してもらいたいのだが・・・、なんせ指定医がまだ決まっていない。

クロアチアの医療システム。いわゆる国民保険に加入し毎月いくらか納めるところまでは日本をはじめとする諸外国と変わらない。でもそこから先がちと異なる。まず、保険の効くかかりつけの指定医、ホームドクターを選び、そこで患者(?)登録してもらう。体調をくずしたときにはまずそのホームドクターに行き、必要あらばそこから専門医に紹介してもらうというカタチ。これって、もー、社会主義の名残そのもの。

日本のように自由選択システムに馴染んだ者にはチョット時代遅れで、もし指定医が気に入らなければ一年後にちがう医師に変更できるとはいえ、こちらの選択の自由を奪われたようでどこか窮屈。だけど、かかりつけの医者がいるって、そんなに悪くない。医師側にとっても年間確実な患者数=収入が得られるのはいいのでは(そこで医者がそれに甘えなければ、だけど)。

そうは言っても異邦人にはどの医者がいいのかなんてわからず、とってもロシアンクロアチアン・ルーレット的。そこで知人のかかりつけの女医さんに連絡するも、どうやら彼女、目下夏休み中らしく返事が来ず、いつまで続くのかこの宙ぶらり〜ん。不便なんですが。ま、他にも登録なしで診てくれる個人経営の専門クリニックなどもあるけどね、なんせそういうところは保険が効かず高額なんっす。

最近読んだ本。

『回天の門』藤沢周平著
『新撰組血風録』司馬遼太郎著

ともに舞台は幕末。藤沢周平にしてはチョット固いかな、清河八郎の物語。倒幕、開国、その激動の時代とここ数年の日本が重なる。司馬遼太郎のは題のごとく、納められている短編すべてが新撰組の惨殺事件の記述もの。あの時代と今の京都の街角に思いを馳せつつも、先に進めば進むほど気分が悪くなり、パタン、途中で閉じた・・・。前回の帰国で関空の本屋で買ったが、明らかに選書ミス。

カテゴリー: 月と太陽の傾き

なにも、かわらない。

『背教者ユリアヌス』辻邦生著
『沈まぬ太陽』山崎豊子著

この2冊を最近読んだ。辻邦生さんの描いたユリアヌスは悲しくも美しい。が、読み終えたあとの悲しさがなんとも重い。そしてそれは『沈まぬ太陽』にも共通しているかもしれない。どちらも実在した人、事件。

350年代のローマ帝国と1960〜90年代の日本。そして2011年の日本とクロアチア。私欲と策略だらけの嘘つき政府と大企業、心貧しきものが蔓延り、正しく生きようとする者が陥れられ虐げられ葬られるのが常。時代、国を越えても、それはなにひとつ変わらない。

さて、変わらないといえば、先日、階下のNちゃんが半年間のアメリカでのディズニー客船での仕事を終えて帰国した。客船での日々12時間の激務ですっかりシェイプアップされ、旅立ち前の半分ぐらいにスッキリと変わったNちゃん。

「次はいつ行くの?」
「少しゆっくりして、7月末に」
「帰って来て、どう?」
「やっぱりここにはもう住みたいと思わない。何も変わってないし、誰も変わってない。これからもそれは同じ」
「そだね、Nちゃんみたいにちゃんと前進して生きていきたいヒトにはね、よろしくない国だよね」

帰国してからかつての職場(税務署)の友人たちに会ったそうだが、彼女たちはNちゃんの出国前と相変わらずで、職場ですることといえばゴシップに暇つぶし、愚痴の言い合い。だけどそこから抜け出す術も力量もなく、変化を嫌い、そうやって一生が過ぎて行く。ぶっちゃけ、とてもクロアチアっぽい。外国で2年過ごしたのちにかつての職場に再就職したクロアチア人の知人がいるが、「2年も空けてて戻って来たのに仕事もメンバーもナニヒトツ変わってないって、すごくない?そこに戻れたのもそう。こんなこと他の国ではありえないよね。良くも悪くもクロアチアだなあって思ったよ」と苦笑していた。

Nちゃんが言った。
「出発前に購入したカメラや保証金、やっと払い終えたの。半年前アメリカに渡ったとき、ポケットには10ドルしかなかった」
「お母さんに聞いたよ。着いた先のフロリダのホテルでエージェントが未払いだった宿泊料の税金の分が払えなかったって」
「うん、そんな話し聞いてなかったし、しかも20ドルだったから・・・。事情を話したらホテルの支配人さんが見かねて替わりに払ってくれたの。その時にどこの国からと聞かれてクロアチアからと言ったら、20ドルが払えないようなそんな国にはもう帰っちゃ行けないよって言われた・・・」

そうなのだ。先進国の者にすれば「たったの」20ドルだが、東欧の小国クロアチアでは事情が異なる。ショップングモールでの洋服屋でのバイトの時給は20クナ、300円足らずだ。一日みっちり8時間働いても160クナ、2500円程度にしかならない。なのにカフェではコーヒが12クナ、190円前後、トラムの運賃は大人一人8〜10クナ、つまり時給の半額はする。先日回って来たメールに、貧困のためにトイレとシャワーのない家に住むクロアチア一家のために寄付を募るのものがあった。毎日の食もままならず子供たちは学校教育も受けれずにいる。その小さな平屋にトイレとシャワーを完備するのにいったいどれくらいかかるのかと思ったら、15万円ぐらいなのだ。わたしが今年帰省しなければいい額。しかしそれすらも、寄付がなかなか集まらない現状。

大好きなNちゃんがこれからも階下にいてくれたら、実際わたしはとてもうれしい。そうNちゃんに伝えた。「だけど、それはさて置き、Nちゃんはこんなとこにいたらあかん。時々お母さんに会いに帰って来る分にはいいけれど、アメリカでもオーストラリアでもカナダでもいい、船での出会いを大切にして、チャンスを掴んでほしい。お金がすべてじゃないけれど、ある程度の基準を満たした生活ができる環境にいることは大切。だからここには帰って来たらあかん」と付け足して。