カテゴリー: 旅の空

春うらら

大好きなマグノリアの花は残念ながらもう過ぎてしまってたけれど、いつでもこの木が大好き。木陰で小鳥がさえずりトラムのトコトコ走る音を聴きながら、眠いなあ〜。春うららな金曜の午後のザグレブです。

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里帰り


久しぶりに空を飛んで時間を超えて、ザグレブです。まるでその数年、ずっとここにいたかのような、懐かしさともちがう、ただただ故郷感というのかな。いいことだね。

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フランス。

気がつくと8月下旬からまったく更新していなかった。

9月中はなにをしてたんだっけ・・・。すぐには思い出せないこの物忘れは名人級。というよりも、昨日食べたものすら思い出せず、しかも昨日だと思っていたことがもう一週間ほども前のことだったりと、とにかく時間の過ぎさる早さに追いついていない。

その先月でひとつだけ思い出せるデキゴトは、9月中旬にははじめてフランスという国を訪ねたこと。これまでまったく興味がなかった国。パリ? エッフェル塔? ニース?・・・ふーーーーーん、だった国へ二週間の旅。きっかけはかつて「薔薇色の都市」と呼ばれた南仏のトゥールーズに憧れた父とそれに同行する母からのお誘いだった。はじめてのフランスで、しかも二十名ほどの団体という、なんていうか外国に住む”ニホンジン”には日本に住む”日本人”らしく振る舞えるかしらとドキドキ体験。旅は一行よりも一足早く到着したニースからはじまり、アヴィニョン、アルル、カルカッソンヌ、サンエミリオン、モンサンミッシェル、そしてパリへとローマ時代の町を回りながら毎日毎日たくさんのものを見、バスで走り、しかも詰め込まれすぎて途中でもうなにがなんだかわからなくなって、こういう旅の仕方はあんまり性に合わないな、となんとなく腑に落ちず、毎夜その日のことを噛み砕いて消化することができぬまま気がつくと旅は終わってしまった。

フランスであってもどこであってもわたしのキョウミは相変わらずユダヤ系統だが、今回訪れたローマ帝国の街のかたすみでユダヤの歴史も訪ねたかった。とはいえけっきょくはアヴィニョンであの街の観光メインといってもいいローマ法王庁跡(「がらーん」だそうだ)に一行が訪問している時間を使って、ひとり(ただしくは旅の間わたしたちのバスの運転手を務めてくれたおじさまと)シナゴーグを訪ねた。翌日のアルル行きをキャンセルし、アヴィニョン近郊にあるフランスでいちばん古いシナゴーグまで足を伸ばすことも考えてみたが、もう博物館になっているそこには行かないことにした。死に絶えたユダヤの跡地を訪れるのはあまり楽しいものではないから。旅の終盤では何時間もだらだら歩くのはちとツライとヴェルサイユ宮殿には入らず、そこで両親とともに三人で離団してパリへ。パリ中心のサンラザール駅までの、そのなんともいえない体臭やら生活臭の漂うお世辞にも清潔とはいえないローカルな電車の四十分は、まるで四条河原町から阪急で梅田に向うようなキブンで、ヴェルサイユから見る見るうちにごちゃごちゃと民家が犇めいた色香もなにもない窓からの眺めに「えー、次は梅田ー、梅田ー」と父と笑いあったのだった。パリでは母の要望でシャンゼリゼ通りを歩いたぐらいで、エッフェル塔の写真なども撮らなかったし、じっさい東京タワーのほうが色合いもデザインも美しいと思えたのは気のせいか。そして昼はセーヌ川沿いを散歩しながらマレ地区でファラフェルをがっつき、夜は日本人街ではないパリッ子の集まる回転スシ屋でちらし寿司に満足。この旅のなかでいちばん美味しかったのは、サンラザール駅付近の食堂で疲れきったところでありつけた一杯のオニオンスープだった。

とまあそんなこんなで、典型的な観光旅行とふつうのパリを過ごした旅を終えて、帰って来てから十日も過ぎてからのほうが俄然、「よかったなあ、フランス。また行きたいかも」なんて思えて来る始末。あの二週間で滞在したいくつもの町に今さらのように興味が湧き出してしまった。しかも今回は両親との旅に集中したかったのと、ぞろぞろ説明を聞きながらのツアー見学では思うように写真など撮れる時間もないとわかっていたので、写真らしい写真はほとんど撮らずだったのも今になるともったいなかったと悔やまれる(カメラは持って行ったのにね)。もう一度、でも今度はゆっくりと一ヶ月ぐらいかけながら、思う存分写真も撮りながら、なんて夢うつつ、次なる旅への妄想がおもちのようにぷうーっと膨らみはじめたから始末に負えない。朝焼けに染まるモンサンミッシェルを、朝の光りのころ、午後の風と光り、そして夜の光りの中に浮き上がるその姿を何日でも撮り続けてみたい。宝くじでも買いますかね。

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久しぶりに旅をした。

ここしばらく出かけるのが億劫だとかなんだとかブツブツ言っていたのだが。

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やっぱり鉄道。
旅はこれがいい。
長距離バスじゃ、ロマンがない。

ザグレブから南に向かう列車に乗った。
車内はほとんど空席だった。
イースターだったから。
元旦にJRで帰省するみたいなもの。

列車が動き出すと車掌さんがトレー片手に「Coffe?」
「紅茶ある?」
「ないよ」
「じゃ、ジュースある?」
「ほいさっ」
そういって陽気にドアの向こうに消えてゆき、
「ほいさっ」
小さなテーブルの上に置かれたのは、
紅茶でもジュースでもなく、
やっぱりコーヒーだった。
しかも、ネスカフェにお砂糖がたっぷりの。

なんだかクスクス笑えた
列車の旅の始まりだった。

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「ハワイアンレッスン」連載スタート

以前お知らせした連載がようやくスタートします。
葉っぱの坑夫のウェブにて世界中どこからでも読めます。

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執筆中の舞台裏話はきっと話せるけれど(それはまた別の機会に)、まだこのストーリーを自分の言葉で短く伝えるほどあたまの中でまとまっていないようなので、以下、葉っぱの坑夫の「H a p p a n o U p da t e s」から転載です。

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ザグレブ在住の大桑千花さんによる実話ストーリーです。ときは1996年春。場所
はハワイ島。著者と三人の国籍の異なる男たち、総勢四人があるミッションを胸に、
京都・吉田山を旅立ちます。
ハワイの暖かな風、静かな波音、黒々とした溶岩の大地、ハワイ語で発音される魚
の名前や日々の食べもの、ヤシの木、バナナの木、一見なにごともなく淡々と過ぎ
ていく日常の風景と、四人それぞれのレッスン(challenge)の軌跡が、主人公の
生き生きとした言葉で語られていきます。
川瀬知代さんの切り絵によるハワイの植物が生命の詩を晴れ晴れとうたっています。

第一回掲載は、全七章のうちの第一章(五話)です。

1-1 マーロンとトモコ
1-2 ライスサラダ
1-3 愛したい
1-4 バックトゥ・ザ・80ズ
1-5 壁のない家
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どうぞ、読んでみてください。

「ハワイアンレッスン」

テキスト:大桑千花
切り絵:川瀬知代
デザイン:Yoshimean.T