カテゴリー: 不思議のクロアチア

the American dream

時々仕事を終えたNちゃんが、庭のベンチにぽつんっと座っていることがある。

大学も出て資格もあるのに、仕事はいまだにパート扱い。職場もあっちこっちにたらい回しで、専門的に将来的に蓄積できるものがない。有給もないから夏休みもない。休んだ分だけ給料がもらえないから休めない。なのに物価だけは異常なぐらいに高いから、映画に行くのもカフェに行くのも財布が気になる。乗り物も高くて旅行なんてほとんどできない。同世代の女性はみんな「結婚」がゴール。そこに収まってしまえばそれでよし。だけどNちゃんはなんだかそんなのはイヤみたい。

アメリカに行こうかな・・・。

知り合ってから二年、Nちゃんはずっとそう言い続けている。行けばなにか変わる。新しいことを受け入れないこの街では、なーんにも希望がない、持てない、見いだせない。変化がない。ダイナミックじゃない。みんなずっと親と同居してるのだって、先立つ物がないから。結局はそこに辿り着く。アメリカに行けば・・・。

金沢が嫌いだった。こんなつまらなくて息苦しい街は二度と住むもんかとさえ思った。京都はなーーーーんにも変化のない、ぼーーーっとした街だと思った。こんなつまらない街もないなと思った。大人になったらそんなに悪くないって思えるようになったけど。ザグレブなんてそのふたつの街とは比べられないほど変化もなく辛くも甘くもない街だといつだって思う。わたしだってふと、こんなでいいのかなあ、って思ってみたりする。だからNちゃんがアメリカに行けば・・・と思うキモチ、ちょっとわかるよ。希望も夢もお金もない現実は、塀に囲まれた庭みたいで、抜け出せる物なら抜け出したい、そうなんだろうなあ。ましてや子供のころからずーっとここに住んでいるのだから、他所からやって来たわたしのちょっとわかるかも、とは比べられないぐらい本当は苦しいのかもしれない。

そんなことなんかを考えてたら、朝になってしまった。ベランダから鳥の声が聞こえる。

広告