カテゴリー: 月と太陽の傾き

あんかけうどん。

うちの兄は子供のころ、夏になると鍋焼きうどんを好んで食べた。嵯峨に住んでいたころ、母と兄とわたしの3人で入った嵐山のクーラーなんてまだないおうどん屋さんで、汗をダラダラかきながら兄はその熱々のおうどんを食べていたのを今も思い出す。今年のはじめにそのおうどん屋さんに何年ぶり(何十年ぶり?)かで懐かしく足を運んでみたが、店内も味も以前のような近所のおうどん屋ではなくすっかり観光客向けに様変わりしていた。おそらく二度と行くことはないだろう。

そして鍋焼きうどん好きの兄の妹はというと、生姜のたっぷり乗ったあんかけうどんが食べたくなる。冬の寒い日にふーふーしながらのあんかけは言うまでもなく、でも夏の暑い暑い日のお昼に汗ばみながら食べるあんかけは格別。じーんと体に染み渡るあの温かさが好き。

それを知ってか知らずか、毎日お昼はおうどんと決まっている父にうんざり気味の母から届く荷物の中には、かならずといって氷見の海津屋の細うどんが入っている。母のお父さんが氷見(富山)の人で、子供のころ、お盆だったかもしれない、氷見のお寺にお墓参りに行った記憶がある。そしてもう一品は金沢の山の上町の鶴一屋の寒打製手延素麺。海津屋と同じようにここのおそうめんもしっかりとこしがあり、なのにつるつる、透明感があって、日本の麺技術ってすごいなあと感心せずにはいられない品々。富山や金沢は水がおいしく、雪と山と海に囲まれ、新鮮な野菜に鮮魚、おでんなどの煮込みや和食、おうどん、ほっこりするものが本当に美味しくて、身内の欲目、金沢は食べ物が日本一。あ、中華とたこ焼きは関西には勝てませんが(笑)。

昨日からちょっと胃が弱っていそうな雰囲気だったので、今日のお昼はその細うどんであんかけを。お出汁は昨日の晩にとっておいた干し椎茸と昆布であっさりと。じっくり煮込むあんかけのお出汁は煮干しでないほうがしっくりくる。さて、あんはここでは手に入らない貴重な片栗粉にしましょうか、とがさごそ救援物資箱を掻き分けてみれば、おやまあ、宝達の葛。藩政時代から続く石川の特産品であり、金沢の和菓子の老舗である森八のお菓子にも使われるこの天然の葛、ここはもう思いきって贅沢しちゃいましょう。たっぷりのお出汁、添加物もなんにもなく自然の恵みだけのおうどんとあん。そこにササッと生姜をおろして、わー、いい匂い。これぞまさに、究極の逸品。胃も喜びましょうというものですね。感謝感謝。

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