カテゴリー: 月と太陽の傾き

オソウシキ

ザグレブに来てから何度目かのお別れの日。

第二次世界大戦中におきたホロコーストを生き抜いた人たちも多いザグレブのユダヤ・コミュニティー。彼らの多くは80代〜90代。従って、ある日突然のお別れも多い。

先日、Mさんの90代のお母さんが亡くなって、ミロゴイ墓地にてお葬式があった。そう、拙著の『クロアチアの碧い海』(産業編集センター)やそのほかのガイドブックにも登場する、あの、欧州でも最も美しい墓地のひとつだとわたしが常々思っているミロゴイ墓地。この地を訪れる日本人にとっては、ぜひ行ってみたいいわゆる観光用の場所以外なんでもないところ。

小さなお母さんの棺のあとを、独り身の彼女と腕を組んでゆっくりと歩いてゆく。そのあとを参列者がおなじようにゆっくりと歩いてくる。右手からあの美しい回廊が時おり目に飛び込んで来た。だけど、なんだかいつも写真を撮りに来たり、ショアーの日の式典で見るあのミロゴイとはまったく別の、なんていうんだろう、もっと日常的な延長線上でのミロゴイ、そんなものを目にしたような気がした。

ユダヤのお葬式はちょっとフシギだ。いや、日本のお葬式が不思議なのだろうか。イスラエルでもそうだったしここでも、カラリとしてジメジメしない。もちろん悲しみや涙もある。だけど、過ぎ去ったことにいつまでも泣いてはいられない、しょうがないじゃない、どうしろての?みたいなどこか割り切ったような空気がある。静かではあるものの参列者同士だってそんなにしんみりしているわけでもなく、女性はお化粧だってオシャレだってしてくるし、いわゆる喪服なんてものもない。黒い、または黒っぽい色の服であればなんでもいいわけで、それプラス足元はヴィヴィッドなパープルのブーツだったり(おおっ?と思ったのはまだ慣れないわたしだけ)、男性だとジーンズの人もいる。イスラエルで10年ほど前にユダヤの葬儀に参列したときも、他の友だちたちは腕を組んでふつうに学校帰りみたいに、なにかの歌謡曲を口ずさんでた。あのときもあれにはさすがに驚いたけど。

ユダヤでは基本的には棺桶というものは使わないのだが、ここザグレブでは使う。そしてどかんっと棺桶を墓石の前に掘られた穴に入れると、ドカッ、ドカッ、と鈍く重い音とともに墓掘り男たちがシャベルでその上に土をかぶせてゆく。ドカッ、その音と遺体の関係にもまだ馴染めずにいるのだが。

お葬式の写真、撮りました。・・・けどそれが。ミロゴイについてスイッチオンにすると、・・・・わーーーっ!・・・電池切れてるやんっ!なんでやーっ!愕然・・・。てことで、慌てて携帯電話のカメラでとりあえず。Mさんには申し訳なかった。が、他にも撮ってる方がいたので、ほっ。いちおう親しい知人のお母さんのお葬式なのでココへのシャシン掲載も全然いいんだけれど、なんとなく、+α、取り込んだりいろいろちょっとめんどくさかったりして、やっぱり今はヤメときマス。そのうち時間ができたら、ひょっこり、こんなんです、ってコトもあるかも。

さてと。いろいろと頭の中が忙しくって、なかなかブログまでまとめるところまで行かず、もうちょいゆるゆるぼちぼちモードでまいりますワ。みなさん、よい週末を〜。

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オソウシキ” への4件のフィードバック

  1. 初めまして、縁あってクロアチアには何度か足を運んでいます。

    ミロゴイ墓地・・・
    私も全く顔見知りでないクロアチアの方が亡くなった時、お葬式に参列したことがあります。Dolacを散歩していると偶然知人のお母さんに出会い、クロアチア語わからない私ですがどうも知人のお葬式に行くというようなジェスチャーだったので、何故かそのまま同行することに。
    その時、私の服装なんて白のダウンジャケットにジーパンと、日本では完璧にNGな服装だったのですけど・・・。
    そもそも、日本のお葬式は事前に案内状が来て、喪服に着替えて、薄化粧と過度まアクセサリーは控えて・・と物々しい形式ですが、クロアチアのお葬式はカジュアル(?)

    1. tomoさん。

      はじめまして。

      ああ、そうですね、自由解散、
      これ、一般的ですね。
      お葬式の後に遺族が開くちいさな集まりがあって、
      親族や亡くなった方の知人友人でお茶します。
      これも自由参加。(笑)
      お香典とかも一切ないですし。
      非常にラクですね。


  2. 間違えて途中で送信してしまいました!

    (続き)
    な印象を受けました。
    死生観の違いを垣間見たというか、日本とのあまりのGAPに結構カルチャーショックでした。

    献花もカラフルですし、バイトらしき聖歌隊や(牧師の説教途中に雑談多し)、棺の後を参列者が追い、用事があったら途中で解散も自由な様子。

    国によって、様々な見送り方があるのですね。
    そして、自分は一体どこのお墓に入るんだろう、と悩むに至りました。

    それにしても、一般人も埋葬されているお墓が観光地になるというのは、景観が美しいのは理解できますが、少し不思議な気がします。

    PS 私も社用でイスラエルには2度だけ訪問したことがあります。
    安全を見て移動は全てタクシー、唯一の外出の楽しみはテルアビブのDANホテル=YAFFAに延びるプロムナード沿いを散歩することでした。

    また寄らせていただきます。

    1. 献花、確かに華やかかも。
      ブルーなどのリボンとかひらひらついてますね。
      先日のオスカーの授賞式をテレビでみてても思ったのですが、
      向こうでは黒いタキシードなどに黒ネクタイ。
      日本だったらこれ、オソウシキですよね。(笑)
      これもおもしろかったです。

      今回、わたしも改めて日常の延長線上のミロゴイを体感して、
      (以前にもここでのお葬式には参加したのですが・・・)
      おなじように観光地としてのミロゴイをどう受け止めたらいいのかなあとか、
      ふしぎでした。

      イスラエルも行かれているんですね〜。
      ああ、タクシーだけでの移動、
      つまらないと思われたかもしれませんが、
      そんなことないですよ。
      イスラエルでバスやら電車に乗るのはムダに体力が消耗されますから。(笑)
      (押し合いへし合い、チケット購入、その他モロモロ)
      あのプロムナード、気持ちいいですよね〜。
      わたしもよくあそこ、歩きました。
      今は少しきれいになってますよ。

      こんなブログですが、またお待ちしております。

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