映画「in her shoes」にみるユダヤなポイント

久しぶりに、ブログに困った時のユダヤネタでも(笑)。

日本に来てからけっこうテレビを観る。BSがメインだけど、寄席や映画、世界の列車旅行、伝統工芸、コンサートなどなど、それほど洗練されていない文化圏のクロアチアではあまり感じられない幅広いチョイスがあってなかなかおもしろい。

先日は「in her shoes」を観た。キャメロン・ディアス主演、2005年のコメディー映画で、まだ観たい人もいるだろうから内容は詳しく書かないけれど、アメリカのユダヤ人作家ジェニファー・ウェイナーの著書をこれまたユダヤ系のFOXの配給で映画化したものだから、その時点で観なくてもなんとなくユダヤ系の話だろうと察しがつく。ということで、知らなきゃ知らないで別にどうでもいいけど、知ってるとさらにデープに観れるこの映画のユダヤなポイントを挙げてみる。

まずは、キャメロン扮する主人公のマギーと姉のローズ。映画のはじめではこの二人の姉妹がユダヤだと匂わすものはなにも出て来ないのだが、そこでヒントになるのが彼女たちの意地悪な継母。この中年女性の嫌らしさたっぷりの継母には前夫とのあいだに自慢の娘マーシャがいる。そこでおお?とすると?とユダヤポイントが入る。このマーシャという名はユダヤに多いのだ。そして映画の中盤ではこのマーシャという娘は、実はJews for Jesus(ジューズ・フォー・ジーザス)といういわゆるユダヤ人をキリスト教に改宗させる新興宗教にはまって、母親はキリスト教に改宗されては困ると気が気ではない。もうこの時点でこの親子のユダヤ確定。つまりこのマーシャの母でありマギーとローズの継母もユダヤ人で、そのユダヤ女性と再婚したマギーとローズの実父も、おそらくユダヤ人だろうとなる。であれば彼の前妻もそうだろうし=マギーとローズたちもユダヤ人という簡単な芋づる式ユダヤ方程式。それをさらに確信づけるのが、シャーリー・マクレーン扮するマイアミの高級老人ホームに住んでいる彼女たちの母方の祖母エラだ。マイアミにはエラやその子供世代など、いわゆる「マイアミの裕福なユダヤ人」が多く、一般の人には手の届きそうもない設備の行き届いたこの高級老人ホームに住んでいるエラの友人たちもその容姿や名前、友人の下着にメノラー(燭台)がプリントされてる辺りのちょっとした会話からも、エラと彼女を取り巻く友人たちがユダヤ人だとわかる。

そしてもう一人の登場人物、マギーの姉ローズの同僚でローズの恋人となるマーク・フォイアスタイン扮するサイモン・スタイン。わははっ、この役名とあの風貌でもしユダヤ人じゃなかったら誰?ってなぐらい、紛れもなくユダヤ人。そんなマギーがラストシーンでサイモンに「ローズがハヴァナギラ(ユダヤの民謡)を歌う時はとっても怒ってる時よ」というあたりもさりげなく、結婚式の様子もマギー一家とスタイン一家がユダヤ系であることを伝えるには十分すぎる。

だが、そんなことを知らなければ単なるハリウッドコメディーとしてサラリと観れてしまうほど、この映画の最初から最後までユダヤ人特有のちょっとひねたユーモアやジェスチャーはほとんど見られず、ユダヤ社会を描いた映画としてはまったく物足らない。が、アメリカ社会のカケラとして一般向けな演出になっているあたり、まあ今のアメリカの世俗ユダヤ社会もこんなものかもな、というところでしょうか。原作がどうなのか気になるところではありますが。

6 Comments

  1. chipsalsa said,

    2009/11/04 at 6:26 pm

    世俗ユダヤ社会ってそれはお金持ち社会のことですか(笑)?フロリダ行きの飛行機の客層宗教比率するならば圧倒的にユダヤ人のかたが多いですよ。高級老人ホームにいるご家族を訪ねていたのかしらね。シートベルトサインが消えた途端に立ち上がりお祈りしてた。その光景には非常に驚きました。初めて見たので。

    ロシアからご両親と当時の旦那さんとでこちらへ移民してきたマーシャという友人がいる、いる。彼女の周りにも同じように移民した友人がいて彼らがブライアントビーチで買ってくるスモークサーモンとイクラはとっても美味しいのだ。見立てが違うね。ところで、世俗ユダヤ社会の食卓と本格ユダヤ社会の食卓にも違いがあるの?

    映画と全然関係ないコメントでした。キャメロンってコメディー以外に出演作あるっけ?

    • 千花 said,

      2009/11/05 at 9:56 pm

      チプサルママさん

      あ〜、そうでしょ?フロリダ行きの飛行機の中(笑)。ほんと、フロリダは多いっすユダヤの方々。

      >世俗ユダヤ社会の食卓と本格ユダヤ社会の食卓にも違いがあるの?

      うーん、あると言えばあるしないと言えばないかも?(なんじゃそりゃ。笑)
      というのは、世俗でもカシェル(Kosher)な食卓の家庭もあって、そうであれば気合いバリバリさんユダヤの食卓とのちがいはあまりないですが、カシェルを無視している世俗の食卓だともうなんでもあり(笑)。ユダヤの食卓ではないですな。

      で、同じユダヤでもアシュケナジー、スファラディー、ミズラヒ、系統的なちがいからくる食卓の差はかなり大きくて、安息日に食べる料理とかお菓子とか、いろいろとちがうんですわ〜。

      うー、こういう話題、やっぱり好きかもかもっ(笑)。

      p.s. キャメ嬢でシリアスな映画・・・ないんじゃない〜〜〜?(笑)

  2. 寧夢 said,

    2009/11/05 at 10:12 pm

    私もこの映画は好きで、映画館でも先日のBSでも見ました。
    姉妹の葛藤、親子、夫婦間等、家族の問題(読書障害・
    福祉関連にも興味津々でしたが)にばかり目が行っていたので、
    ユダヤに焦点を当てた今日の記事、さすがチカさんの解説!
    ふむふむと頷いてしまいました。なるほどねー。

    娘(小4)はどうしてジャマイカレストランで結婚式なの?
    何でガラス瓶踏んでるの? どうしてみんなダンスしてるの?
    と不思議がっていました。そこに目が行くのかー・・・。
    確かに日本の結婚式のイメージとは余りにも違いますものね。
    そういえば『屋根の上のバイオリン弾き』見せていなかったなあ・・・。

    最近のキャメロン・ディアス、シリアスな役柄増えてきましたね。

    • 千花 said,

      2009/11/08 at 6:37 pm

      寧夢さん

      この映画、個人的には出だしがちょっとイマイチなんですが(笑)、
      途中からのシャーリーマクレーンの存在感がやっぱりすごいっ。

      ハリウッド映画、
      けっこう気づかないだけで
      実はこういったユダヤポイントが散りばめられているものがあるんですよ。

      屋根の上のバイオリン弾き、
      あの映画もユダヤ全開です(笑)。好きな映画ですが。
      小学生にはどう映るんでしょうね。興味あります。
      わたしはかなり大きくなってから観ましたワ。

  3. Ogarin said,

    2009/11/07 at 4:48 am

    ずっと観たかったこの映画がBSでやっていたので録画していました。
    観ようかな、と思ったころにこの記事がアップされたので先に読むべきか悩みつつ
    映画を先に観てみました。
    マーシャの改宗の話や結婚式のあたりではユダヤ系なんだなと思うものの
    知識なしに観ていたら全然わからないので、ちかやんのこの記事とても興味深く読ませて頂きました。
    タイムリーだったし。(同じBS観てたんだから当たり前か)

    • 千花 said,

      2009/11/16 at 7:53 am

      おがや〜ん

      そうそう、日本にいるとタイムリーだからいいですなあ。
      軽く感動すらおぼえたりして(笑)。

      あの映画はところどころユダヤが散りばめてあるけれど、
      仰る通り、前面に押し出されてるわけじゃないから、
      わかりにくいんですよね。
      しかもキャメ嬢がユダヤ役だとはすぐにピンとこないし。


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